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輪厚物語
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「ワアツ」あるいは「ワッツ」と人によって違うが、公式呼称は漢字どおり「わあつ」である。

国道36号線(弾丸道路)が舗装され,ゴルフ場ができてから,急に輪厚という変わった地名が,人の耳にはいるようになった。昭和35年発行の広島村史によると(アイヌ語で「ウッチナイ」の転訛したもの。脇川で泥川の意である。輪厚川川上の脇にあたるところからつけられたという。) という。アイヌ語地名の解釈はだいたい簡単なもので,解りにくいものである。山田秀三著「札幌のアイヌ地名を尋ねて」では,この点を詳しく説明している。まず「脇川」については,ウツは肋骨のことで,地名に使われる場合はこれに川を意味する語をつけて,ウツ・ナイ「肋骨のような形になっている川」という。これは沼か大きな川に,肋骨のような感じでつながっている小川のことである。だから川を略して単にワツまたはワチとも使われる。

蝦夷探検家の松浦武四郎も安政3年の蝦夷紀行で「ウッツ」と称し,和人の慣用地名になっていなかったこの時代には,まだアイヌ語本来の音で「ウツ」で呼ばれていた。

輪厚という聞きなれない地名の転訛はウツ−ワッチ−ワッツ−ワアツの過程で固定されてしまった。同じ例としてツキサブ−チキシャフ−ツキサップ−ツキサム(月寒)など,道内のアイヌ地名の転訛は無数にある。



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